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中学生にこそ必要な思考力!家庭でのCritical Thinkingの取り組み方法



 

こんにちは!英国在住経験経験から子育てや英語教育についてブログを運営している、ともきりママです。

 

今回は、子供の将来に必要不可欠な思考力を身に付けるために、家庭でできる「Critical Thinking」(クリティカルシンキング)についてお話ししていきます。

 

 

【はじめに】

Critical Thinking(以下、クリティカルシンキング)とは、Critical批判的な、Thinking思考、で、情報を収集し、分析し、判断や推論をすることでより深い理解や洞察の力を得るスキルのことです。

イギリスやアメリカのような英語圏の国々で一般的に教えられている教科の一つです。日本でも中学や高校で教えている学校があるかと思います。

私が長年住んでいたイギリスでは、小学校からクリティカルシンキングを念頭に置いた教育が始まり、中学と高校では選択教科の一つになっています。イギリスの大学の医学部や法学部など特定の学部ではクリティカルシンキングは必須受験教科です。また、私が過去に勤めていた欧州にあるアメリカ系金融機関でも、クリティカルシンキングMBA取得者に限らず、グローバルビジネスパーソンには必要なスキルだと教えられていました。

イギリスの子供たちはクリティカルシンキングという教科としてではなく、他の教科の授業からこのスキルを意識しないで学べるように指導されています。

なぜなら、子供たちが将来直面するであろう様々な問題に対して、正しい判断を下し、問題解決策を見出す力をつけるために必要なスキルだからです。

また、クリティカルシンキングによって、情報に簡単に惑わされることなく、自分の意見を自信を持って述べることができるようになります。

クリティカルシンキングは、参考書を読んで勉強するよりも、授業や実生活で体験を積みながら身に付いていくものです。そのため、家庭でも継続的に取り組むことが大切だと思います。この記事では、中学生でもできるクリティカルシンキングの訓練の方法をご紹介していきます。

 

 

クリティカルシンキングを家庭で教えるためのアプローチ】

中学生にこそ必要なクリティカルシンキングは、学校によっては教科に入っていないかもしれません。学校で学べたとしても教わる時間が限られているため、家庭でクリティカルシンキングを教えることは大切です。

私が一番重要だと考える家庭で教えるためのアプローチは、日常生活での様々なシーンでの疑問や矛盾点に対して、子供と一緒に考えるようにすることです。

例えば、「なぜ地球温暖化が問題なのだろう」「なぜ戦争は長く続いているのだろう」とか、「なぜ襲撃犯は首相を狙ったのだろうか」など、テレビの報道などで流れているニュースに関して親子で話し合う習慣をつけることです。

子供が「わからない」と言っても「お父さんはこう考えているんだ」「お母さんはお父さんとは違う風に考えているよ」などのように話を広げていきます。それでも興味を示さなければ終わりにします。(無理強いはNG)

しかし、常に情報や事象に対して疑問や違う視点を持つ姿は、子供に見せておくことが良いと思います。

 

子供にクリティカルシンキングを身に付けさせるためには、親はエスチョンテクニックを覚えておきます。クエスチョンテクニックを使うことで子供はより深い思考力を養い、自分の意見をより正確に伝えることができます。

例えば、現在も継続しているウクライナとロシアの戦争(ロシアのウクライナ軍事侵攻)について、「あなたはどう思いますか?」と、子供の意見を聞きます。その上で、「あなたは何故そう思いますか?」「それが正しい理由だと思いますか?」などの、質問は子供の考え方を深く掘り下げます。

また、あえて子供の考えとは違う意見を述べて、子供の反論を引き出すこともあります。例えば、「日本の周辺にロケットを打ち込まれるのは日本が悪いからだよね?」などのように、子供に反論の意見を言いやすいように誘導します。その上で、子供の反論にさらに親が反対意見を言うという、一種のロールプレイ議論をしていくことも子供の思考力を伸ばすアプローチになります。

イギリスの小学校では、このロールプレイがしばしば授業で行われています。今回の議題は「なぜフィッシュアンドチップスの人気がなくなったか」として、○○ちゃんはお店の人、○○ちゃんはお客さん、○○ちゃんは漁師さん、など、子供の年齢に合わせたテーマで楽しく話し合いをします。このように、いろいろな視点から、様々な意見を出し合ってクリティカルシンキングを学んでいきます。

 

もう一つ例を挙げます。例えば、子供がディズニーランドに行きたいと言ったとします。クエスチョンテクニックとしては、「なぜディズニーランドに行きたいですか?」「ディズニーランドに行って何をしたいですか?」「ディズニーランドに行くことで何を得られますか?」など、実際にこの質問をしたら子供に嫌がられると思いますが、こういうパターンの質問をすると子供は自分の考えを上手にまとめ、より洗練された意見を持つことができます。

 

疑問を持ち、考えることの大切さは、クリティカルシンキングの基本的な原則の一つです。自分の意見を言う前に、情報を集め、論理的に考えることは必要です。疑問を持って考えることで子供はより良い意見を持つことができます。また、疑問を持つことは、新しいアイデアを生み出したり、革新的な考え方を養うためにも重要です。

 



 

クリティカルシンキングを身に付ける方法】

 

1.ニュースや映画などの映像作品を通して学ぶ方法

ニュースや映画などの映像作品を見ることは、クリティカルシンキングを学ぶためには手軽で最適なリソースです。上記で述べたように、ニュースについて親子でお互いの意見や考えを話し合ったり、映画鑑賞の後で物語の中で起きたことについて感想を話し合います。子供の考え方や意見は否定せずに尊重して、その上で親の意見も伝えます。これを習慣化することで、子供はニュースをはじめ様々な情報に対して自分から考える習慣が付くと思います。

 

2.問題解決力を高める練習方法

クリティカルシンキングは、問題解決力を高めることにもつながります。子供が問題解決力を高めるためには、以下の問題解決のプロセスを理解することが大切です。

  問題解決のプロセス

  1. 問題の把握 何が問題かを探す
  2. 情報収集 正しい情報かを確認し、詳しい情報を得る
  3. 解決策の選択 解決策候補を考え、最適だと思うものを選ぶ
  4. 解決策の実行 実際に解決する(または、話し合いの中で発表)
  5. 結果の評価 結果が正しいかどうか自分や他人がチェックする

これらのプロセスを理解して、自分の思考のプロセスを作り上げていくことで、問題解決力のスキルが向上します。

 

3.家族でディスカッションをする方法

イギリスでは、家族でディスカッションすることは珍しいことではありません。むしろ、何かにつけて家族でディスカッションしているようにも見えます。小学生の子供も大人顔負けの話しぶりをします。(内容は幼くとも)

家族でディスカッションすることは、子供がクリティカルシンキングの力を発展させるために非常に効果的な方法です。何について話し合うか(議題)は、皆で希望を出し合って決まます。例えば、近所の出来事、新しい映画や動画、最近のニュース、家事の分担やお手伝い、敬老の日のプレゼント、次回の外食先、など何でもOKです。

次に、質問を用意します。質問は明確かつ具体的で多くの答えを引き出すことができるように工夫します。

そして、ディスカッションを始める前に、ルールを決めておきます。ルールは家庭や家族構成によって柔軟に決めます。例えば、以下はイギリスの学校で使われているルール(お約束)です。

  • 人の話を最後まで聞く
  • 人の話を途中で遮らない
  • 相手の意見を尊重する、バカにしない
  • 自分の意見を言う前に挙手をする
  • 自分の意見を明確に述べる
  • 汚い言葉を使わない、大きな声を出さない
  • 不機嫌にならない、失礼な態度を取らない
  • 相手を攻撃しない
  • ディスカッションの結果を後々に引きずらない

ディスカッションは、全員が意見を述べるようにします。そして、相手の意見に質問することがディスカッションを充実させるためには必要です。メモは取る癖をつけるようにします。そして、ディスカッションの最後には家族全員が新しい考えや気づきを、まとめて共有します。

このようなディスカッションをすることで、子供は新しい発見をし、批判的思考や推論することを向上させることができます。家族そろって実行することが難しい場合は、親と子の一対一の形式で行います。

 

まとめ

以上、中学生にこそ必要な思考力であるクリティカルシンキングについて、家庭での取り組み方についてお話ししました。その中で、以下のようなポイントを押さえてまとめたいと思います。

まず、クリティカルシンキングを家庭で教えることは、子供が将来の社会で生き抜く上で非常に重要です。正しい判断を下すためには、豊かな思考力が必要不可欠です。世の中の情報や、他人の意見や考えを、そっくりそのまま丸呑みせず、いったんは自分の頭で考えて判断を下す習慣を身に付けることは、自分の人生において役に立つスキルだと思います。そのためには、家庭での取り組みを通じて日ごろから訓練しておくことが大切だと思います。

また、クリティカルシンキング一朝一夕で身に付くものではないため、家庭での継続的な実践が必須です。日常生活の疑問や問題に対して、常に考える習慣を持つことで向上していきます。

家庭での取り組みを継続的に続けることに親は負担を感じるかもしれませんが、例えば、ニュースを見た感想とか近所の噂話の真偽など、身近なものに関する親子の会話の中で質問を入れたり等で工夫できます。ちょっとしたことを話し合う、という始め方でも良いと思います。

日本ではまだ注目度が低いかもしれませんが、グローバル化していく社会ではクリティカルシンキングのスキルは必ず役に立ちます。日本は協調性を重んじる習慣があるため、自分だけ他人と違う考えや意見を述べることに抵抗を感じる人も少なくないと思いますが、家庭内でこの練習を積み重ねていくことで、子供の思考力は深まり、議論する力と問題解決力も高まるので、ぜひ、ご家族で実践してみてください。

 

ともきりママ